「税務署の職員が懲戒免職になった」というニュース、最近よく見かけませんか?
実は国家公務員の懲戒処分って、ちゃんとしたルールに基づいて決まっているんです。
この記事では、懲戒処分の種類や免職になる基準、国税庁・税務署職員の処分傾向を、最新のデータと実例(匿名化した事例)を交えてわかりやすく解説していきます。
「なんとなくニュースで見たけど、仕組みがよくわからない」という人にこそ読んでほしい内容です。それでは早速いってみましょう。
懲戒処分ってそもそも何?国家公務員法が定める4段階
まず基本のところから。国家公務員が非行やルール違反をした場合、国家公務員法第82条にもとづいて懲戒処分が下されます。処分は軽い順に「戒告」「減給」「停職」「免職」の4種類です。
| 処分の種類 | 内容 | 身分への影響 |
|---|---|---|
| 戒告 | 文書や口頭での厳重注意 | 身分は失わないが人事記録に残る |
| 減給 | 1年以下の期間、基本給の月額5分の1以下を減額 | 同上 |
| 停職 | 一定期間、職務に従事させない | 同上(給与は原則不支給) |
| 免職 | 公務員としての身分を強制的に失わせる | 公務員の身分を完全に失う |
懲戒処分の種類は法律で定められており、処分の程度が軽い順に「戒告」「減給」「停職」「免職」の4つがあります。
免職以外の処分では公務員としての身分を失うことはありませんが、人事記録に処分について記録され、昇任や昇格、昇給、諸手当の支給等に影響が生じます。
ちなみに減給は1年以下の期間で基本給の月額5分の1以下に相当する額が減給されると決まっていて、意外とキッチリしたルールなんですよね。
免職だけが「クビ」になる処分で、それ以外の3つは在職を続けながらペナルティを受ける形、というのがポイントです。
免職になるかどうかの判断基準は?人事院の「指針」をチェック

じゃあ、どういう基準で「これは免職」「これは減給」と決まるのか。ここは気になるところですよね。
総合的に判断される
実は「この行為をしたら必ず免職」という単純なルールはありません。<cite index=”14-1″>人事院の指針は、代表的な事例を選び、それぞれにおける標準的な懲戒処分の種類を示したもの</cite>で、あくまで目安なんです。
実際の量定を決めるときは、次のような要素を総合的に見て判断されます。
- 非違行為を行った職員の職責(どんな立場の人がやったか)
- 他の職員や社会に与える影響の大きさ
- 日頃の勤務態度や事後の対応
非違行為を行った職員の職責はどのようなものであったか、その職責は非違行為との関係でどのように評価すべきか、他の職員及び社会に与える影響はどのようなものであるか等のほか、適宜、日頃の勤務態度や非違行為後の対応等も含め総合的に考慮のうえ判断することになっています。
加重されるケースもある
さらに、標準例より重い処分になることもあります。
非違行為の動機若しくは態様が極めて悪質であるとき、または非違行為の結果が極めて重大であるときや、過去に同じような非違行為で処分を受けたことがある場合などは、量定が引き上げられる仕組みです。
つまり、「金額が大きい」「立場を悪用した」「隠蔽しようとした」といった悪質性が高いほど、免職に近づくというイメージですね。
税務署・国税局職員は他省庁より処分が多い?最新データで確認

ここで気になるのが「実際どれくらいの人数が処分を受けているのか」という点。人事院が発表した最新データを見てみましょう。
人事院によると、2024年に懲戒処分を受けた一般職の国家公務員は285人で、前年から45人増加しました。
処分の内訳は重い順に免職20人、停職50人、減給134人、戒告81人となっています。
処分理由の内訳も見てみると、こんな感じです。
| 処分理由 | 人数 |
|---|---|
| 公務外非行関係(窃盗・暴行など) | 105人 |
| 一般服務関係(勤務態度不良・欠勤など) | 91人 |
| 交通事故・交通法規違反関係 | 34人 |
| 通常業務処理関係(不適正な業務処理など) | 21人 |
| 横領等関係 | 14人 |
処分理由は、窃盗・暴行などの「公務外非行関係」が105人で最多でした。
勤務態度不良や欠勤などの「一般服務関係」が91人、「交通事故・交通法規違反関係」が34人、不適正な業務処理や報告怠慢などの「通常業務処理関係」が21人、「横領等関係」が14人となっています。
そして注目してほしいのが省庁別の数字。このうち国税庁は43人で、省庁別では海上保安庁の65人、法務省の44人に次いで3番目に多い数字でした。
税務署員を含む国税庁の職員は、日々多額のお金や個人情報に接する仕事だからこそ、他省庁に比べて処分件数が目立ちやすい傾向にあるといえそうです。
どんな行為が懲戒免職につながるのか【匿名化事例で解説】

ここからは、実際に報道された事例をもとに、個人が特定されない形でどんな行為が免職に至ったのかを見ていきます。
事例①:守秘義務違反・情報の私的利用(2025年10月)
ある国税局管内の税務署に勤務していた50代の女性職員(上席国税調査官)が懲戒免職になったケースです。
無許可でアルバイトをしたり、納税者情報を含む行政文書を持ち出したりしていたとして懲戒免職となり、調査官はイベントスタッフやエキストラとして計219回働き、計約222万円を得ていたのに確定申告をしていませんでした。
それだけでなく、納税者情報などが記載された行政文書計101件を自宅などに持ち出していたほか、部内システムで納税者情報を私的な目的で検索したり、勤務中にスマートフォンで株取引をしたりしていました。
このケースがまさに「加重要素」の典型で、無許可副業+確定申告漏れ+公文書の持ち出し+情報の私的利用と、非違行為が複数重なっていることが免職という重い処分につながったと考えられます。
事例②:職務を利用した金銭授受・脱税(2026年8月)
別の国税局管内では、20代の男性職員が懲戒免職となった事案も報じられています。
税務調査で知り合った納税者宅に頻繁に出入りし、金銭の工面を依頼するなどして計約1億5000万円もの現金を受け取っていたことが発覚。さらに、うそをついて現金をだまし取った疑いや、受け取った現金を元手にした収入を申告せず脱税していた疑いも持たれ、詐欺の疑いで書類送検・告発される事態になりました。
この事例は、税務調査という職務上の立場を悪用して私的な利益を得たという点で、社会的な影響が極めて大きいと判断され、免職という最も重い処分になったとみられます。
2つの事例に共通するのは、「職務上知り得た情報や立場を、私的な目的に利用した」という点。国税庁の職員に限らず、公務員全体において最も重く見られるポイントだといえそうです。
懲戒処分はなぜ公表されるの?国税庁・人事院の公表ルール
「どうしてニュースになるの?」と思う人もいるかもしれません。実はこれ、人事院が定めた公表指針にちゃんと理由があります。
職務に関連する行為に係る懲戒処分、または職務に関連しない行為に係る懲戒処分のうち免職または停職である懲戒処分については、原則として公表するという取り扱いになっているんです。
ただし、氏名まで公開されるとは限りません。
事案の概要、処分量定及び処分年月日並びに所属、役職段階等の被処分者の属性に関する情報を、個人が識別されない内容のものとすることを基本として公表するのが原則で、基本的には匿名での公表が前提になっています。
今回紹介した2つの事例も、公表資料や報道ベースでは氏名までは明らかにされていないケースが中心です。
つまり、
- 免職・停職クラスの重い処分は、原則ニュースになる
- ただし公表内容は「個人が識別されない」形が基本
- 事件性が高く警察・検察の捜査対象になった場合などは、報道機関の取材で氏名が明らかになることもある
というのが実情です。
まとめ
最後に今回のポイントをおさらいしておきますね。
- 国家公務員の懲戒処分は戒告・減給・停職・免職の4段階
- 処分の重さは動機・態様・結果・職責・社会的影響などを総合的に判断して決まる
- 2024年の懲戒処分は285人、うち免職は20人、国税庁は省庁別で3番目に処分者数が多い
- 免職に至るケースの多くは、職務上の立場や情報を私的に利用した悪質なもの
- 処分は原則公表されるが、氏名などは基本的に匿名で扱われる
税務署や国税局の職員は、私たちの税金や個人情報に日々関わる立場だからこそ、その分厳しい目が向けられます。ニュースで「懲戒免職」という言葉を見かけたときは、こうした制度の背景を知っておくと、より正確に理解できるはずです。
参考・出典
- 人事院「懲戒処分の指針について」
- 人事院「懲戒処分の公表指針について」
- 国税庁 公式サイト
- 日本経済新聞(2025年10月17日)
- TBS NEWS DIG(2026年8月7日)


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